第7章 吸血ネズミ
「キャプテン何飲んでるの?」
鼻のいいが変わった匂いにつられて寄ってきた。すでにかなり酔ってるらしく、動きがふにゃふにゃしている。
「ビール」
「ビール? でも匂いが違うよ」
くん、と鼻を寄せて、は不思議そうな顔をした。
「クラフトビールだ。ビールは島ごとに作り方や風味が違う。これはセイロウ島で仕入れたやつだな」
飲んでみるか、と飲みかけの瓶を手渡すと、は思い切りよく喉に通した。そしてその強い苦味に、渋面を作る。
ローは思わず笑った。
「の好きな味じゃなかったか」
瓶を返しては頷いた。
「これはキャプテンの好きな味だね」
「へぇ。の中で俺はそういうイメージなのか」
「クセが強くて独特。苦みばしって大人の味って感じ」
「……褒めてるか?」
「半分くらい」
ローの隣に座って彼に寄りかかりながら、は口直しとばかりに自分のジョッキに手酌で酒を注いで上機嫌で飲み干す。かわいい花柄のボトルだった。
「は何飲んでるんだ」
「おいしいよ。キャプテンにもあげる」
飲みかけのジョッキを渡され、花の香りのする酒を(甘そうだな)と思いながらローは飲んだ。瞬間、食道と顔と全身が熱くなって意識もクラっときた。
「……こんな強い酒飲んでたのか」
「おいしいよねー」
ジョッキを返されたはちびちびと飲みながら上機嫌だ。確かに味は悪くないが。
「程々にしとけ、。酔いつぶれると危ない」
「えー……」