第7章 吸血ネズミ
「本当にホワイトガーデンで乗ったネズミなら……ちょっとまずいかも。雑食で大人しいけど吸血性なんだ。特に人の血が好物で」
「血を吸われちゃうの?」
ベポにぎゅーっと抱きついては震え上がった。ベポも酔っているせいか号泣寸前だ。
「俺、ミイラになっちゃったらどうしよう」
「いや、そんなには――」
「水につけたら戻るかな?」
は真剣に対策を考えている。
「血の代わりに水を入れるの? そうしたら俺、透明グマになっちゃわない?」
「ベポ、スケスケになっちゃうの?」
「なりたくないよー! 俺シロクマだもん」
「ベポがミイラになったら、ちゃんと牛乳で戻すよ!」
約束だよ、とベポはに抱きついた。ミイラは水につけても戻らない、というツッコミは誰もしなかった。みんな酔っ払っててそれどころじゃなかったのだ。
ウニだけがただ一人、困った顔をしている。
「まだなんか心配事があるのか」
酔っ払うのは趣味ではないローが尋ねた。
「ええと、その、血を吸われても量は大したことじゃないけど、吸われると副作用が――」
ちらりとを見て、ウニは言いよどんだ。
「ベポ、の耳をふさげ」
船長命令に、ベポはふかふかの肉球での耳をふさいだ。
「ベポの耳あてだね」
酔っ払ってるは音楽は聴けないの?などと機能の進化を求めている。求めに応じてベポは調子はずれに歌い始めた。
には聞こえないように、ウニは小声でその副作用を告げる。能面みたいな顔でそれを聞いたローは、「あしたまでにネズミ取り100個設置しとけ」とペンギンに無茶振りした。