第6章 ホワイトガーデン
(死なせない……っ)
息の続く限り空気を吹き込み、限界に達すると一度水面に出て大きく息を吸い、またもぐって息を吹き込む。鍵が開くまで何度も何度も、はそれを繰り返した。
「開いた……!」
檻の鍵が開くと同時に、ペンギンとゴンザの脱出はマリオンに任せ、引き続き彼らは船長の救出を続けた。
広場の天井近くまで海水は流れ込んでいた。手錠を外したときには船長の意識は完全になく、ベポとシャチとの3人がかりで引っ張って泳ぐ。
「こっちだ!」
脱出口を確保してくれていたのはU-2だった。
「スイレンは先に行かせた。内部に水が入るとショートしちゃうんだ。かくゆう僕も、泳ぎは得意じゃない。外に出たことがないから」
震えるU-2の手を握り、は「一緒に行こう」と彼の手を引き、地上へと泳いだ。
◇◆◇
地上では夜が明けていた。神山と呼ばれるプロメテウス火山はまだ噴火しておらず、鳴動が続いている。
「キャプテン起きて! このままじゃ死んじゃうよ! キャプテンにしか治せないんだよ……っ」
ローの手を握っては叫ぶ。けれど返事はなかった。
彼の全身に白い痣が覆い、意識はなく、体は冷たかった。脈と呼吸はまだかろうじてあるものの、意識が戻る気配はない。たとえ戻ったところで、能力を使うだけの体力はもう残っていないだろうと思われた。
「キャプテーン!! 俺痩せるから! 何でも言うとおりにするから起きてよぅ……!!」
ベポが大泣きしている。ハートの海賊団のクルーたちの間には沈痛な空気が流れていた。
「……彼を救う方法はある」
進み出たのは、片腕をなくしたスイレンだった。