第6章 ホワイトガーデン
「すごい振動……立ってられない」
転げ落ちるように彼らは坑道の中を走った。誰かが島を持ってシェイクしているようなすさまじい揺れだった。
「こんな揺れ、経験したことないよ。島が割れそうだ……っ」
激しい揺れに耐えられず、洞窟の壁や天井に亀裂が走っていく。生き埋めになる恐怖と戦いながら彼らは走った。
◇◆◇
地下カトパタークに戻ると、割れた亀裂から海水が入り込んで水浸しになっていた。
「キャプテン……!?」
膝まで浸水し、さらに水かさの増している広場の様子には悲鳴を上げた。
「! こっち……!!」
檻は広場の中でも一段低くなった場所に置かれていた。鎖で縛られ身動きの取れないペンギンとゴンザを鉄格子ごしに支えて、マリオンが叫ぶ。
「船長がやばい! 急いで!!」
は一段深くなっている広場の奥へ、迷うことなく足を踏み出した。
「キャプテン、しっかりして……っ!」
全身に真っ白な痣を浮かび上がらせたローは、真っ青な顔色でほとんど意識もなく、返事はなかった。
彼の手錠は檻の床面に固定されていて、水から逃れて体を起こすことができない。そして水はもう、彼の顔のすぐ真下にまで迫っていた。
「シャチ急いで!」
「わかってるけど、鍵が多くて……っ」
鍵束の中の鍵を一つ一つ合わせていくが、檻の鍵に合うものがなかなか見つからず、シャチは焦って次の鍵を取り出す。
そうこうしているうちに、迫りくる水に苦しげにしていた船長の顔が完全に水没した。
「キャプテン……!!」
ベポが悲鳴をあげる。
檻の鉄格子ごしに、はローの体を掴んで引き寄せた。檻越しにキスして、空気を送り込む。ぴくりと彼の指先が動いた。