第6章 ホワイトガーデン
「人形ども、俺を助けろ!!」
戦闘任務に当たっていたブリキ兵たちが、人形遣いの命令に一斉に向きを変えて殺到した。ブラッドリーを救うべく、互いの手足を連結して救助に向かう。
はU-2から借り受けたカッターナイフで、ブラッドリーの腰に結ばれていた鍵束を切り裂いて奪った。
熱で手が溶け、ずるずるとブラッドリーの体は下に落ちていく。それでも往生際悪くしがみつこうとするブラッドリーを、は蹴り落とした。
「不老不死が欲しいなら、一人で神山の霊薬を探しに行きなよ」
「小娘が……覚えたぞ、お前の顔。これで終わりと思うなよ。いずれ必ず、お前の皮を剥いで人形にしてやる!!」
溶岩湖に落下しながら、ブラッドリーの蝋人形は叫んだ。
命令を遂行すべく、ブリキ兵たちがあとを追って溶岩湖に飛び込んでいく。
「……!!」
敵がみんな溶岩に飛び込み、ベポとシャチが駆け寄ってとU-2を引っ張り上げた。
「U-2……」
片腕を失ったスイレンが、震えて腰を抜かしているU-2を抱きしめた。
「よく頑張った。あなたの勇気が、私はとても誇らしい」
「本当に? ……ナノハもそう言ってくれるかな」
「もちろん。彼女だって同じことを言うに決まっている」
抱き合い、U-2は少しだけ泣いた。スイレンの目に涙はなかったけれど、彼女も同じ気持ちだと痛いほどよくわかった。
「また無茶しやがって……!!」
火傷のあとやら、すり傷やら、殴られたあとまであるのケガを確かめて、シャチは「ああもう」と顔を覆った。
放っておくと無茶ばかりするという船長の弁は当たっている。
を一人にしちゃダメだと、シャチは痛感した。
「鍵は手に入れたよ。早く戻ろう。キャプテンが死んじゃう!」
自分のケガの痛みなんて感じてないとばかりに、はベポたちを急かした。
その時、坑道全体を揺らすような振動が起きた。
「地震……?」
「噴火の前兆だ! 急いで戻って! 坑道が崩れたら生き埋めになる!!」
U-2の言葉に、彼らは手をとりあって来た道を戻り、走った。