第6章 ホワイトガーデン
「来てるの知ってたのか?」
驚くU-2に、は頷いた。
「後ろから足音がしてた。……力は弱くたって、聞き分けなら誰にも負けない」
いずれ世界一のソナーになるんだから。力強く笑うを、ひどくまぶしい思いでU-2は見た。
「こんな小娘に……っ、殺せ!! 皆殺しにしろ!!」
溶けていく体を必死に押さえながら、ブラッドリーは叫ぶ。
は立ち上がり、彼から鍵を奪うべく駆けた。
「小娘が!! 何もかもお前の思い通りに行くと思うなよ!!」
溶けたドロドロの手で、ブラッドリーの蝋人形がの首を掴み、持ち上げる。
「んん……っ」
「……!!」
スイレンに助けを求めようとして、U-2はこちらの劣勢を悟った。戦闘モードになったブリキ兵たちは厄介だった。刃物を振り回し、シロクマたちもひどい手傷を負っている。
自分がやるしかない。でもどうやって? 人形いじりばかりしてきたU-2の腕力は、悲しいかなより少しマシなくらいだった。
「U-2、爆弾を……っ」
の声に、U-2は威力を増すため連結していたダイナマイト型の爆弾を取り外した。一本だけに火をつけて、ブラッドリーを狙って投げる。
「……!?」
爆発音にシャチが大声を上げた。
坑道の天井ががらがらと崩れ、溶岩湖に落ちないよう、U-2が必死にの手を掴んでいた。
だがそこに、溶けてとても人間とは思えない容姿になったブラッドリーまでもがしがみついている。
「今助けに……っ!」
身を翻そうとしたスイレンは、その隙を突かれてブリキ兵に右腕を斬り飛ばされた。左腕で大刀を拾って応戦するも、とても二人に駆け寄る余裕がない。
シャチとベポも同じだった。
「クソどもが、この俺にこんな真似を……っ!!」
下からの強力な熱にドロドロと体を溶かしながら、ブラッドリーはを押しのけ、U-2の手を掴んで這い上がろうとする。
手を離せば下は真っ赤に沸騰する溶岩だ。助かる道はない。