第6章 ホワイトガーデン
目的地は明るかった。坑道の先が急に開け、ヤケドしそうな熱気が押し寄せてくる。
地図に描かれた赤い塊の正体。それはお宝ではなく、ぼこぼこと沸騰する溶岩湖だった。
「それで……お宝はどこだ?」
周囲を見回し、宝の欠片もありそうにない光景にイライラとブラッドリーは問うた。
「そんなもの、もうどこにもない。丹砂は500年で取り尽くしたんだ。お前はこの島で欲しいものは何一つ得られない。ここで死ぬんだ!」
「クソガキが! 死ぬのはお前一人だ!!」
ブリキ兵たちが槍を構えてにじり寄る。U-2は採掘用の爆弾と火種を取り出した。
「ごめんよ、。巻き込みたくはなかった。でも僕はカトパターク最後の住人として、こいつを見逃すわけにはいかない」
「……その必要はないよ」
爆弾を恐れる様子もなく、はごく落ち着いてU-2を止めた。
「私の意図を正確に理解してくれてありがとう。だから私達の勝ちだよ。私の目的は時間稼ぎじゃなく、ここまで連れてくることだった」
「小娘が、何を言って――」
落ち着き払ったの様子に不気味さを感じ、殺すならこいつからだと考えた瞬間――ブラッドリーの頭が、ドロリと溶けた。
それは汗が流れたという次元ではなかった。体そのものが熱によって溶け、崩れていく。
「あなたが能力者本人じゃないのは最初からわかってた。生きた音がまったくしてなかったから。でも金属でもない。人間と見間違えるくらいに精巧に作られた――蝋人形。この温度には耐えられないでしょう?」
「ぐ……おお」
溶けて崩れていく体をなんとか留めようと、ブラッドリーは顔を押さえる。
むき出しになったガラスの眼球がを捉えた。こんな弱々しい盲目の娘にしてやられるとは。
「殺せ……!!」
人形遣いの号令に従い、ブリキ兵たちが一斉に襲いかかってきた。
「ふせて!!」
スイレンの声に、U-2はをかばって坑道のすみに身を伏せた。
戦闘用自動人形の大刀が、ブリキ兵たちを両断する。
「、大丈夫!?」
追いついてきたベポがブリキ兵を蹴り飛ばし、に駆け寄った。