第6章 ホワイトガーデン
「なんだかあっけなかったね」
ベポの言葉にスイレンは頷いた。
「見張りの命令しか受けていなかったせい。ブリキ兵たちは自分で考えたりしない。ブラッドリーの命令にただ従うだけ」
反撃の命令をしていかなかったのはブラッドリーの痛恨のミスと言えた。物事があまりに順調に進んでいたせいで、伏兵の存在をすっかり失念していたんだろう。
「くそ、ダメだ鍵がないと……っ」
シャチたちは仲間を救出しようとしたが、檻は強固で壊れる気配がなかった。
「せめてキャプテンの海楼石の手錠だけでも外せれば……っ」
「鍵はあいつが持ってる。なんとかして手に入れねぇと……!」
苦しげに荒い呼吸を繰り返す船長の容態が命に関わることは、医者じゃなくても理解できた。
「こっちはいい。を追え。絶対なにか無茶しやがるはずだ……」
絶え絶えの息の下、あくまでローはを優先させようとした。
――言葉はぶっきらぼうだけど、すごく優しい人なんだよ。
スイレンはの言葉を思い出していた。本当にそのとおりの人柄がうかがえて、胸が痛い。彼を失ったらはどれだけ嘆き悲しむだろうか。
そしてそれは、スイレンの希望が潰えることも意味していた。
「……U-2たちを追う。鍵は必ず手に入れる。だからそれまで頑張って」
「俺も行くよ!」
ベポ、そしてシャチが立候補した。
「マリオン、お前はなんとかその檻の鍵を壊せ!」
「んな無茶な!」
俺鍵屋じゃないんだけど!というマリオンの訴えは無視して、スイレンたちは走り出して行ってしまった。