第6章 ホワイトガーデン
噴火の被害を避けるため、人形の少女・スイレンがたちを案内したのは地下に広がる洞窟だった。
「わー、すごい。声がどこまでも反響してる」
面白がっては声を上げ、複雑に分岐して、張り巡らされた洞窟の反響具合を楽しんでいる。
「仲間のところに案内する。こっち」
しかしスイレンは言ったそばから洞窟の壁にぶつかった。
「大丈夫?」
「センサーが片方やられたせい」
顔の半分を覆う布に触れて、彼女はため息をついた。そんなところまでひどく人間くさい。
「任せて。私は見えないプロだから」
スイレンの手を握って、はニコニコと一緒に歩き出す。戸惑いながらも、スイレンは助けを受け入れた。
「人間なのに……あなたたちはとても変わってる」
「そう?」
「普通は人形が動いていたらまず驚く」
「そういえば、スイレンはどうして自分で動いたり喋ったりするの? さっき戦ってたのは何? どうして争ってたの?」
いま聞くのかと、スイレンは面食らって沈黙した。
「~! こっちも助けて」
明かり一つない暗闇の中で、壁にごっつんごっつんぶつかっていたベポたちが泣きついた。
「しょうがないなぁ。みんな手をつないで」
「ゆっくり! ゆっくり歩いてね。でないと俺たち、ぶつかっちゃう」
「見えないくらいで歩けないなんてまだまだね」
はふんぞり返って先頭のベポの手を引いた。マリオンは「ここなんかすごい人の気配がするんだけど!?」と別の恐怖から悲鳴を上げている。
「センサーには他に人間の反応はない。……彼は何か幻を見ているの?」
「えっと、霊感が強いみたいなの。違うセンサーが発達してるというか。……意味わかる?」
「なんとなくは。三次元解析で視認できないものを見ているということで合っている?」
「たぶん、そんな感じ。……ここで人がたくさん死んだの?」
スイレンは悲しそうに頷いた。