第6章 ホワイトガーデン
「修理の事なら――」
言いかけ、スイレンは島全体を揺らす振動に言葉を切った。
「わ、地震?」
「プロメテウス火山の噴火の兆候。……このところ、活動が活発になってきている。ここは危険。地下に案内する」
◇◆◇
「……遅い。迎えに行く」
フラフラの体を押して外に出ようとする船長を、ペンギンとゴンザは二人がかりで止めた。
「無茶ですって!」
「そんな状態で外に出たらどうなるかわかってるんスか!」
離せ、と船長は暴れるものの、そこにいつもの強さはない。呼吸は荒く、除去しても除去しても浮かび上がってくる痣に体力を吸い取られているかのように、何かに掴まらなければ歩くこともできない状態だった。
(を行かせたのは失敗だったかも。俺らじゃ、なだめきれない)
外にいるのがじゃなければ、そもそもこんなに無茶を言い出さないだろうとペンギンは確信していた。もともと心配や動揺を顔を出す人じゃないのだ。へのそれだけ、度が過ぎている。
を亡くなった妹に重ねているらしいという話は、ベポからちらりと聞いていた。過剰な過保護さや心配ぶりも納得の理由だった。
長い付き合いであるものの、ペンギンは一度も船長から妹がいたなんて話を聞いたことがなかった。つまりはそれほど、辛い失い方をしたんだろう。その後悔や喪失感の反動が全部、に行っているのだ。
「なら大丈夫ですよ」
「なんでそんなことが言える。こんなに遅いのに――」
「クルーを信じて待つのも船長の仕事でしょうが。あんたがそうやって心配しすぎて一人で行動させないから、は信頼されてないってひそかに落ち込んでるんですよ」
ひどいショックを受けて、ローは動きを止めた。