第6章 ホワイトガーデン
「火山の地下には何かすごいお宝があるんだよ! 壁画によると赤い石みたいに見えるけど……それを使えば、病気を治したり、死人を蘇らせたり、黄金を作り出したりできるんだ!」
「ええー……シャチまさか、それを探しに行く気?」
「海賊がお宝を前に素通りなんてできるわけないだろ!」
「ダメだよ、キャプテン具合悪いのに……一緒に戻ろう。お宝探しは今度にしようよ」
「次の島にこんなお宝があるとは限らないだろ!」
困ったことにベポまでシャチの味方をし始めた。
「俺たち借金で首が回らないんだよー! お宝があるなら、ぜひ手に入れなくちゃ」
「追っ手から逃げるにしても先立つものがいるし」
マリオンまで同意してしまう。は呆れ果ててしまった。
「みんなキャプテンとお宝、どっちが大事なの?」
「そりゃもちろん、お宝」
マリオンは容赦なく言い切った。シャチまで「キャプテンはもちろん大事だけど……俺らが戻ってもキャプテンの具合が良くなるわけじゃないだろ」と言い出す始末だ。
「借金がなければこんな無茶しないよー! でも俺お金返さなきゃ、スペアリブにされちゃう」
「ベポまで……」
まさかの事態にはため息をついた。
「本当にみんな、危険をちゃんとわかってるの? 遺跡を掘り出した人間がいるなら、目的は間違いなくそのお宝だよ。さっきの争う声だって――」
ハッとして、はベポたちを建物の隅に誘導した。
「どうしたの、」
「しっ。戦闘音がする。こっちに近づいてくる」
何も聞こえず彼らは顔を見合わせたが、が言うならと促されるままに身を隠す。少しして、彼らの耳にもハッキリと聞こえるほど戦闘音は近づいてきた。
「ベポ、見える? 誰が戦ってるの?」
「ええと、女の子と――なんだろう、あれ」
窓からこそっと顔を出して、ベポは戦況を報告する。
少女を襲っているのはブリキの機械だった。かろうじて二足歩行はしているが、丸鋸のついた4本の腕を振り回す姿はとても人型とは言い難い。頭は球体に目のようなライトが2つ付いているだけで、愛嬌があると言えなくもなかったが、明らかに殺す目的で少女を襲う姿はシュールさも相まってひどく不気味だった。