第6章 ホワイトガーデン
足取りも軽く、は白い森を走った。一人前に扱われたことが嬉しい。みんなの役に立ちたい。その思いでどこまでも走っていけそうな気がした。
(さっきかすかに聞こえた戦闘音はもう聞こえない。誰が戦ってたんだろう? この島にいるのは一体誰……?)
走りながらは注意深く付近の音に耳を澄ました。ここでドジって大ケガでもしたら、心配性で過保護の船長は二度と一人で行動させてくれなくなるだろう。
(キャプテンと一緒にいるのは嫌じゃないけど……平等に扱ってもらえないのは悲しい)
だからよくよく気をつけて、うまくやらなければ。そうしたらきっとみんなも見直してくれるだろう。
◇◆◇
歩いて進んだときはそこそこの距離があったように思えたのに、走るとすぐに都市の廃墟にたどり着いた。
(ベポ、みんな、どこ……?)
気配を頼りには廃墟の中を進んだ。
静まり返った都市の廃墟は不気味な冷たい気配に満ちていた。かつてここで大勢の人が亡くなったのは事実かもしれない。
(キャプテンに言ったらまた怒りそう……)
彼は怖いものに怒るタイプだった。ケンカしたくないのでその話はやめてあげよう、とは心に決める。
「あれ、!?」
「ベポ……! 良かった、見つけられて」
声を頼りにはベポのほうへと進んだ。
「、一人で戻ってきたのか?」
危ないと言わんばかりにシャチは心配した。道端に座り込んでいたマリオンが元気のない声で「どうしたの、その手ぬぐい」と、口元に巻かれた布を不審がる。
「みんなも灰を吸い込まないようにして。この灰、毒なんだって。キャプテンそれで具合悪くなっちゃったの」
はみんなの分を持ってきた手ぬぐいを渡した。
「マジで!? 俺死ぬの!?」
シャチに蹴られて一度頭から灰に突っ込んだマリオンが悲鳴を上げた。