第6章 ホワイトガーデン
「ゴンザ、はしご下ろして!」
甲板の掃除をしていたクルーに、は声をかけた。普段なら能力でを連れて入れ替えるのだが、安易に能力の発動もできないくらい、ローは弱っていた。
「キャプテン? どうしたんスか」
の声にペンギンまで船室から顔を出した。
「具合悪いの。手伝って」
に言われ、ペンギンは船長を船に引き上げるのを手伝う。
「キャプテン、その痣――」
「痣?」
ペンギンに指摘され、戸惑ってローは自分の顔に触れる――触れようとして、自分の手にも痣が出ているのに気づき愕然とした。
そこにあったのは、昔いやというほど見た白い痣。命を奪う珀鉛病の印。
(しまった……っ!!)
体調不良の理由に気づいて、ローは島の中央にそびえ立つ火山を振り返った。
(珀鉛が混じってやがるのか、この灰!!)
「キャプテン? どうし――」
尋常ではない様子に気づいて心配そうに声をかけてきたを、ローは乱暴に船内へ押しやった。
「全員中に入れ! 今すぐ! 灰に触るな、毒だ!!」
ぎょっとしてゴンザが掃除道具を放り出す。
全員を中に入れてローはしっかりとドアを閉めさせた。
「換気口も全部塞げ! 潜水モードに切り替えろ!」
「あ、アイアイ!」
船の操作をするべく、ペンギンは慌てて駆け出していく。しんどい体調を押して、ローは能力を使って自身の体から珀鉛を取り除いた。とたんに体は楽になる。
しかし全快とまではいかなかった。おそらくすでに、目に見えないほど細かく砕かれた灰の欠片が空気と一緒に船の中にまで入り込んでいるのだろう。それを吸うたび、体に珀鉛はどんどん溜まっていく。