第6章 ホワイトガーデン
「……キャプテン? どうしたの? 具合悪い?」
手をつなぐ船長の呼吸が乱れていることに気づいては声をかけた。
に話しかけられて我に返り、ローは「いや」と反射的に否定する。
「大丈夫……ただちょっと――白い色が嫌いなんだ」
灰をかぶって真っ白に染まった街が、滅んだ故郷と重なる。その姿はあまりにフレバンスに似すぎていた。
ええ!と声を上げたのはシャチとベポだ。
「言ってくださいよ! ならツナギを白にしやしなかったのに!」
「俺もクロクマにするのに!」
「え、ベポそんなことできるの?」
純粋に驚いては尋ねた。
「ペンキで塗るとか」
「それじゃ毛皮がゴワゴワになっちゃうよ」
復讐のチャンスかと、全身灰まみれで真っ白になったマリオンが「どうだ怖いか~」とローに襲いかかった。
問答無用でローは彼を蹴り飛ばした。
「マリオン、キャプテンをいじめちゃダメ」
「いや、蹴られたの俺――」
は船長が嫌な気分にならないように、丁寧にマリオンの体についた灰を払った。
「ちゃん、俺と結婚しよう」
「キャプテンいじめる人とはしない」
はっきりと断って、はもう一度ローと手をつなぐ。彼の手はずいぶんと熱っぽく、やはり体調が悪いんじゃないかとは不安になった。
「こんな大都市が……なんで滅んだんでしょうね」
「破壊された形跡はないし、侵攻があったようにも見えねぇな。たちの悪い伝染病でもはやって、都市がまるごとやられたか――」
「――うわぁ!!」
それを裏付けるかのように、道に死体が転がっていた。最初に見つけたベポを皮切りに、次々と彼らは悲鳴をあげる。
死体はそこら中に転がっていた。