第6章 ホワイトガーデン
「暑い……干物になっちゃうよ」
ダラダラと汗をかきながら進むベポは、まるで生者の血を求めてさまようゾンビのようだった。
「ちゃん、猛獣いない?」
びくびくとマリオンはに抱きついて、いつ獰猛が出てくるかわからない森を不安そうに見回す。
「暑いって言ってるシロクマが一匹」
「干物になりそうなシロクマは怖くないから平気」
「どさくさにまぎれて何の腰抱いてんだよてめぇ」
後ろからシャチは不届きな密航者を蹴り飛ばした。雪のように積もった火山灰の上にマリオンは転がり、全身真っ白になる。
「、ちゃんとベポと手をつなげ。あちこち根が出てて危ない」
「……ベポの手、しっとりしてるんだもの。キャプテンつないで」
振られたベポが目に涙を貯めるが、見えてないは気づかない。の手を握ったローは一言「痩せろ」と冷たく言い放った。
獣道と変わらない荒れた道を一行は進む。
灰で真っ白に染まった森がどこまでも続いていた。不気味なほど静かで、生き物の気配がない。
「、何か聞こえるか?」
「何も。鳥の声さえしない……」
不安そうにするの手を握る力を強めて、ローは先に進んだ。
「……ねぇ、キャプテン。ログポースって島によってログが溜まる時間がまちまちだよね?」
だらだらと汗をかきながらベポが話しかける。
「ああ」
「じゃあ、もしかしたらログが溜まるのに何年も時間がかかる島もあるってこと?」
「……そうだな」
もしこの島がそんな特異な島だったら? それはローも考えないではなかったが、あまり悲観してはいなかった。
最悪そんな事態になっても、セイロウ島へのエターナルポースがある。一度戻って、どこか違う島のエターナルポースを手に入れれば航海を続けることは可能だ。