第6章 ホワイトガーデン
「よし、じゃあは決定だな」
杖だけ持って、は下までどれくらいの高さかわかってもいないのに、手すりを乗り越えて勢いよく甲板から飛び降りた。
「……時々本当に無茶するよな」
能力で入れ替えて抱きとめたローは、もはや諦めの境地でつぶやいた。目を離すと崖からでもぴょんと飛び降りそうだ。
「キャプテンが飛び降りた音で、そんなに高くないのはわかってたよ。それよりキャプテン、私の位置を入れ替えたでしょ。それ混乱するからやめて!」
まさかの主張にローは目を瞬いた。いつの間にか悪魔の実の能力のことをしっかり理解しているのにも驚いたし、考えなしの行動じゃなかったのにも驚いた。しかもまさか当然と思ってしたことを怒られるとは。
「ケガしたら危ないだろ」
「キャプテン過保護だよ」
「それは……」
自覚はあるだけに言い返せない。
「キャプテンがお説教されてる……」
あまりに珍しい光景に、ベポだけでなくクルーたちは全員思わず見入ってしまった。
「ほかに行くやつは?」
罰が悪いのか、船長は意図的に話題をそらした。
しかし立候補は出ない。
「……ベポ来い」
「えー!! 俺、夏島はちょっと」
「豚に拒否権があると思ってんのか。食肉にするぞ」
諦めてすでに汗だくのシロクマは甲板から降りた。
「ベポいっぱいお水持っていこうね」
「うん……」
優しいのはだけだった。ベポは涙ぐんでに抱きつく。しかし。
「……なんかベポ、しっとりしてる」
「暑いんだよー!」
「もこもこふわふわじゃないベポなんて……」
太っても寛容だったからまさかのダメ出しをくらい、ものすごいショックを受けてベポはへこたれた。
「すいません……」