第6章 ホワイトガーデン
船が次の島に着いたのは、セイロウ島を出港してから3日後のことだった。
「夏島だねー。暑い……」
常に毛皮を着込んでいるベポが上陸前からぐったりした。いい汗をかいたら少しはダイエット効果もありそうだ。
「水着着たらいいかな?」
「水着買ったの?」
「うん。ベポがかわいいって選んでくれたよ」
スケベな顔をするペンギンに、は素直に答える。しかし船長が止めた。
「水着はやめとけ、。ビーチって雰囲気じゃない」
「どんな雰囲気?」
聞いた直後にビリビリと空気を震わせる大きな音がして、は反射的に耳をふさぎ、「わ、なに?」と少し不安そうにした。
「噴火だ。でかい火山がある」
「……あれ、雪?」
空から降ってくる白いものに、ベポが手を差し出して不思議そうにした。
が小首を傾げる。
「こんなに暑いのに?」
「雪じゃないな。火山灰だ」
島の中心に大きな火山があり、そのふもとは広大な樹海となっていた。頻繁な降灰があるようで遠目に見る森は真っ白だ。
「ちょっと待ってこれ無人島なんじゃ……」
次の島で降ろすと宣言されていたマリオンが顔を引きつらせる。
「追っ手を撒くのにちょうどいいだろ」
方針は変えないと船長はぬけぬけと言う。
「なるほど。……って無理だって! 無人島でどうやって生きてくんだよ!!」
「頑張れマリオン!」
拳を握っては心から応援した。
「無理だよー。俺は生まれてこの方、一度も頑張ったことがない」
「じゃあこの島で挑戦だね」
「うう、ちゃんも一緒に来てくれるなら頑張るけど」