第4章 白竜の彫師
頭を撫でられ、はほっとしたようにサギィにまとわりついた。ローが取り返そうとしても勘がいいのか逃げられて、面白くない。
「……まだ俺の刺青が途中だろ」
を捕まえられないので、ローはサギィを引き剥がす作戦に出た。「はいはい、困ったお客さんだね」とサギィは応じ、サギィをとられたは呆然として、「おばあちゃーん」とマリーアに泣きついた。
「ほら、あんたも仕上げが残ってるだろ」
「う……じゃあ、おやつ食べてから――」
重大な失態に気づいては叫んだ。
「おやつ買ってくるの忘れた!」
慌てては買い物に行こうとする。捕まえようとしてローはとっさにひねった右手を出してしまい、失敗した。
「待て、一人で行くな!」
「ちゃんとキャプテンの分も買ってくるよ」
「そういうことじゃない」
ひねった腰も痛くて、横になった施術台からとっさに追いかけられなかった。言うことを聞かずに飛び出して行こうとするを、ローは能力で自分の横にいたサギィと入れ替える。
「うわ、なに!?」
瞬間移動したサギィが驚いて悲鳴を上げた。
「……?」
対するは自分が移動したこともよくわかっておらずに何が起こったのかと困惑している。
そんなをローは左手で今度こそ捕まえた。
「キャプテン? あれ? さっきあっちにいなかった……?」
の困惑は主に声の位置が移動したことのようだ。他の人間が一瞬で移動したと思っている。
「驚いたね、能力者だったのかい」
さすがに年の功かマリーアは動じた風もない。サギィはまじまじとローを見た。
「悪魔の実の能力者? 本当にいるんだ……」
「悪魔の実って?」
だけ一人、きょとんとしている。
(やっぱり知らねえか……)
手品と言われる訳だとローは納得した。
「……悪魔の実ってのは、食べると特殊な能力が身につく果実のことだ」
「うん?」
「俺はオペオペの実を食べた改造自在人間。手術室のような能力範囲の中で自他を問わず改造が――」
ぽかんとしているを見て、ローは説明を諦めた。