第4章 白竜の彫師
「ええっ、なんで私のせいでキャプテンが海賊に見えなくなるの?」
「ウニを連呼するからだろ」
「言い出したのキャプテンなのに? 今も言ったし」
納得がいかないとクマ耳パーカー姿のは抗議してくる。
「クマの耳つけた海賊がいるか?」
「ベポの悪口言わないで! キャプテンでも私怒るからね」
「へぇ、怒ったらどうするんだ」
興味本位から尋ねると、は杖を持って立ち上がった。
「帰る」
「ちょっと待て!」
一番困る行為を適切に選択されて、ローはの手を掴んだ。
「お前の刺青入れに来たの忘れたか」
「キャプテンに譲ってあげる。ウニ大好きみたいだし」
「だからウニの話は忘れろ!」
プンスカ怒っては態度を軟化させるどころか「ウニなんかお断り!」と言い出してしまった。
◇◆◇
の刺青が彫り終わらないことには出航できないので、ローはセイロウ島での滞在を延ばした。
嫌がるどころかシャチ・ペンギン・ベポは大喜びで、「いいですね、半年くらい居ましょうよ!」と言い出す始末だ。
ただし、
『構わないが、延長分の料金は請求するよ』
『当然だな。何年がかりになろうと小遣いから払わせるから好きに請求してくれ』
豪遊の裏で借金が増えていることを、3人はまだ知らない――。