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白夜に飛ぶ鳥【ONE PIECE】

第4章 白竜の彫師


「おばあちゃん、サギィ、こんにちは。今日はお団子買ってきたよ」
「……おい、茶を飲みに来たんじゃねぇだろ」

 船長のツッコミはつーんと無視して、は「コブ茶でも入れようかねぇ」と言うマリーアに懐く。

「コブって頭のコブ? 誰かケガしたの?」
「昆布のことだよ。乾燥させて粉末にしてあるのさ」

 悲しく放置されている船長を見かねて、サギィが「昨日からまだケンカしてるの?」と声をかけた。

「……ソナーは『聞く』のが仕事だってのに、俺の言うことはまるで聞きやしねぇ」
「音波はちゃんと聞くもん」

 都合の悪いことだけ聞こえない便利な耳の持ち主は、べぇっと舌を出した。

「船長命令はどうした」
「今は休暇中でしょ」
「サギィ、あいつに『生意気クマ娘』って彫ってやれ」
「それはちょっと……」

 ケンカに巻き込まれたサギィは苦笑した。

「それで、はお茶が目的みたいだけどお兄さんはどうする?」
「……はもう知るか。昨日の続きと、同じのを反対側にも入れてくれ。片方じゃ格好がつかねぇだろ」

 言ってローはさっさと施術台に座った。作業を始める前に、サギィは念の為確認する。

「お医者さんなんでしょ? 両手にいっぺんに彫っちゃっていいの?」
「休暇中だからな。が転んでも知るか」

 負けず劣らず子供のような意地を張る船医に、は「転ばないもん」と生意気を返す。

「俺に掴まってここまで来たくせによく言うな」
「キャプテンが迷子にならないよう捕まえてたの!」

 口達者なにマリーアはからからと笑った。

「いくつだろうと女に口で勝とうってのが無理だよ」
「……そうみてぇだな。屁理屈ばっかりこねやがって」
「ふふん、じゃあ今日から私が船長ね。もこもこ海賊団に改名するわ。クルーは全員もこもこ着用!」
「口喧嘩なんて決闘と認めねぇ」
「じゃあ決闘しましょ!」
「休暇中だから断る」
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