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無明之闇~イケメン戦国~

第10章 一以貫之【イツイカンシ】


「そう……しないと、次の天下人を狙って
 各国が我一番にと挙兵して仕舞う……」

「そうだ、家康。
 理解出来た様だな。」

「そんなものはっ……
 実際に光秀様の首を落とさずとも、
 明智光秀は織田軍が処刑したという噂話を流布するだけで
 良いのではありませんかっ?
 私が信憑性のある噂話を作り、
 最短で日ノ本中に知れ渡る策を練りますからっ……」

珍しく声を荒げる三成の想いを嬉しく感じながら、俺は穏やかな声で諭した。

「三成……お前は実際に目にしていない話を
 一切の疑いも無く信じられるか?
 日ノ本中に拡がる噂を最初に触れ回ってくれる者達には
 謀反人である俺の首が落ちる所を実際に見て貰わねばならない。」

苦し気に顔を歪め拳を握る三成に変わって、今度は政宗が噛み付きそうな勢いで俺の襟首を掴み上げる。

「何故光秀なんだ?
 俺だって家康だって、三成だって構わねえだろうが!」

その静かに燃える碧眼を見つめて、俺は僅かに微笑んだ。

「本当は政宗……お前だって分かっているのだろう?
 政宗が統べる奥州も、家康の三河も強大だ。
 この先の秀吉に取って無くてはならない。
 三成に至っては言わずもがな秀吉の右腕ではないか。
 片腕の天下人など在り得ぬであろう。
 さあ、そうなれば必然的に
 謀反人として処罰されるに最適な人物は……誰だ?」

もう誰も、何も言わなかった。

唯、最後に家康が涙声を絞り出す。

「光秀さん……
 あんたを失うなんて………俺は、嫌だ。」
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