第10章 一以貫之【イツイカンシ】
無明の闇の中を手探りで只管に進み続けた人生だった。
この真っ暗闇から脱け出せるなどとは考えた事も無かった。
だが今はその闇の先、手を伸ばせば届きそうな場所から柔らかく暖かな光が射し込んでいる。
最期にあの光に包まれる事が出来るのであれば、俺の人生もそれ程悪くは無かったのだろうな。
そして俺は秀吉の前に跪き、前傾して項垂れる。
「感謝する……光秀。」
俺にしか聞こえぬ声でそう呟いた秀吉の一期一振が振り下ろされるその瞬間まで……
俺の顔は嫋やかな笑みを湛え続けていた。
了