第6章 望蜀之嘆【ボウショクーノータン】
ああ……信長様。
貴方が居ないと、この女はこれ程迄に脆い。
だからやはり、貴方は死んではならない。
この女は貴方の半身であるのだから……。
心からそう思ってはみたものの、その奥底からは相反する感情が沸々と沸き上がる。
……………何故お前の半身は、俺では駄目なのか?
俺はが掴んだままの夜着を乱暴に取り上げ高く持ち上げた。
「う゛ーーーー」
そしてそれを返せとばかりに延ばされたの両手首を片手で絡め取り、がっちりと畳に縫い付ける。
怯えでは無く不審の色が浮かんだ視線に見上げられ、俺の身体中がぞわぞわと粟立った。
己は何と愚かなのだろうか……そう自覚してみた所で、もう止まれはしない。
取り上げた夜着をばさりと褥の上へ放り投げれば、はまた夜着の方向へ身体を捩る。
信長様の匂いすらも愛おしいのか?
ならば、その匂いの上で………
「何だ……褥が良いのか?
確かに畳の上ではお前の身体に負担が掛かって仕舞うな。
ふん…では、褥の上で致すとしようか。」
の両脇に手を差し入れ軽く持ち上げてから引き摺り、褥の上へどさりと寝かせてやる。
ここ迄来れば漸くも己がこれから何をされるのか流石に察した様だ。
仰向けで両肘を付き、じりっと後退るの腰に俺は容赦無く跨がった。
「……もう、逃がさん。」