第5章 千慮一失【センリョイッシツ】
翌朝、結局信長様は秀吉と政宗に加え、家康の一隊も引き連れて出立した。
当に敵の肉一片、骨一欠片とて残してやる気が無いのだと思わされる。
結果として俺と三成が城護りとして残されたのだが、出立の際に信長様が馬上から俺を見下ろして告げた言葉が俺の胸に鉛の如く重く圧し掛かっていた。
「光秀……
………頼んだぞ。」
たったそれだけの言葉だった。
普通に考えれば何て事は無い。
素直に城を任されたのだと、そう考えれば良いだけなのに。
何故、これ程迄に胸がざわめくのか?
…………嫌な予感がする。
そして二日後の晩、その予感は最悪の形として現実となった。