第1章 秋の昼下がりに瞬いた星(木葉秋紀・木兎光太郎)
「……他を惹きつける星、ねえ」
考える。
木兎光太郎という、男について。
「なんか、分かる、かも。むしろ木兎自身が星っぽくない? 超新星爆発起こせそうなくらいデカいし」
「んで眩しいしな」
「そう、眩しい。間違いなく恒星」
二人はそこで一旦沈黙した。眼下には当人。この学園ではちょっとした有名人の、木兎光太郎がいる。
明るくて、眩しくて、輝いてて、どこにいても周囲の目を引くひと。そういうひと。そう、それはまるで彼自身が引力を持っているかのように。
他を、惹きつけてしまうひと。
「えっ、マジ!? サンキュー!」
弾けんばかりの笑顔は、なんと屈託のない。
木兎が手にしているのはノートらしき長方形だ。傍らで笑んでいる少女は言わずもがな、木葉の元恋人である。
理系を選択している木葉と朱花は三組で、文系の彼らは一組。知らないところで交わされた約束や、育まれたクラスメイトの絆があるのだろう。
「……正直、面白くないわ」
ため息がちに木葉が言った。
俯いたままの朱花が答える。
「まあ、そりゃ、うん、……秋紀からしたら面白くないよね」