• テキストサイズ

楽天地

第7章 ふたつ 彌額爾(ミカエル)の語り ー人の望みの歓びよー



イーリスが笑い声を立てた。カールの人たらしは赤ん坊にも効くらしい。リーリエの背越しに小さな手が物欲しげに動くのがチラチラと見えた。

男気のある陽気な画商が腰を屈めて鳩のミカエルを拾い上げる。僕は反射的にミカエルの背中にしがみついた。そこがずっと僕の指定席だったからかも知れないし、もしかしたら違う理由があったからかも知れない。

例えば、僕の知りたい事が他に出来た、とか。
僕がここですべき事はすんだと、そう思ったとか。

僕は自由の名を持つ画商の袖に飛び移ってまんまと表へ出た。

天使と百合に与えられたミカエルの名前は、それからずっと僕のものだ。

知ってしまった祈りの歓びと共に。













/ 296ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp