第7章 ふたつ 彌額爾(ミカエル)の語り ー人の望みの歓びよー
僕はちょっと心配になった。
どうしたんだろう。何か腹を立てるような事が書いてあったかな?僕はそう思わなかったけど。
エンゲルは顎を撫でながら羽ペンを手に取った
リーリエ
知っての通りMichaelはこちらではミヒャエルというが、何たる偶然、うちの鳩もミカエルだ。素晴らしい。
君の周りは、神の祝福で溢れているらしい。身近に天使が三人とあっては、他に言い様がない。
僕も夏が楽しみだ。今年の夏は特別なものになるだろう。私が暑さに弱い事に変わりはないが。
君を取り巻く天使の少なくともひとりは、夏に溶けたバターか割り損なった玉子のように、ぐったりしてしまう。
Lachen Sie nicht, Lilie.
Liebe Grüsse.Engel und Michael.
(笑うんじゃないよ、リーリエ。エンゲルとミカエルより)
やるじゃないか、エンゲル。
この気難しい絵描きは、意外に面白みのある男らしい。