第10章 かきやりし その黒髪の 筋ごとに うち伏すほどは 面影ぞたつ

細い腰を堪能した手の平を、徐々に焦がれた双丘へと進める。
抵抗はしない。
きっと、ここに何があるかなんてこいつは考えた事もないのだろう。
遠慮も躊躇いもなく手を進め、その頂を指先でつまんだ。
当然の反応が返ってきたため、安心させるように抱いた身体を強く締めた。

「なん、」
「耳と一緒だ。お前の理性の箍を外す。」
「タガって」
「タガがわかんねぇのか？」
「解るが。」
「いんだよ。お前は俺に狂ってりゃ。」
「シカマルも私に狂うのか？」
「もう狂ってる。初めて森で人のお前を見た時からな。」

有無を言わせずもう一度つまむ。
つまんで擦って揉んで引っ張って。
手で見てるだけじゃ足りなくなって、身体を起こしその半身の服を脱がせた。
見える白い中心に赤い頂を持つ双丘は、もちろん俺の箍なんてとっくに吹き飛ばす。
旨そうな赤い頂に食いつけば、ガクリと震える天狐の身体。
俺の足に縋る様に巻きつく自慢の尾は、膨れ上がっている。
獣が蜜を舐めるように、俺はその身体を味わった。
舌と鼻と目と手の平で。
やめろ。と言わんばかりに俺の肩を叩く天狐。
仕方なく身体を上げ、汗かく身体を冷ますために自分も服を脱ぎ捨てた。
天狐は初めて見るのだろう。
人の雄の身体を。
その金の瞳の視線が、痛いほど俺の腹に刺さった。

「触れてもいいぞ。」

許しを出せば、恐る恐る伸びてくる白い手。
ぴと。と俺の胸に付けられた天狐の手は、熱い俺の体には気持ちが良かった。
天狐はその身体を徐々に起こし、獣に戻ったように俺の身体の匂いを嗅ぐ。

「汗くせェから、やめとけ。」
「ふふ、確かに匂う。シカマルの香がの。」
「お前は酒臭い。」
「しかたがあるまい。」

どちらともなく口づけを交わし、俺は耐えきれず天狐を隠すすべての衣を剥いだ。
それから、暑い。と口ではいい訳をしながら、心の中では焦がれる身体を抑えきれず、自らも一糸纏わぬ様になる。