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~短歌~

第7章 恋すてふわが名はまだき立ちにけり人知れずこそ思ひ初めしか




なにが上手くやれだ。
窓の外にシカマルが見えたから退散するのだろう。
狐でもない、人でもない。
否定的な意味でしかなかった言葉を、シカクは肯定的に取れと言う。
玉藻前の血をこれほどに憎いと思ったのは今回が初めてだ。
自分は一生、下位の妖狐であると信じて疑わなかったのに。
ガラリ。と開いた扉と中に入ってくるシカマルの音

「たかが狐に命張るとは。」
「張っちゃ悪いか?」
「お前もお前なら、シカクもシカクじゃ。ここへ駆けこむなり私の顔を叩いて、人に変化しろと煩い煩い。」

憎まれ口を叩いてしまうのは、シカクの言葉をちゃんと理解して、受け止めたくないと抵抗しているからだと思う。
視線を向けたシカマルの情けない顔がそれを助長する。
たかが狐にそんな顔するな。
私をただの狐と思うなら。
ほんにやめてくれ。









(実梅の季節)

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