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~短歌~

第16章 逢ふことの絶えてしなくはなかなかに人をも身をも恨みざらまし




「ちょっとあんた。いつまでも窓を開けてないでって言っただろ。」
「あー、へいへい。」
「はぁ。風邪引いても知らないよ。」
「あとちょっとな。」
「まったく。あんたが風邪を引きでもしたら、怒られちまうよ。」
「いんだよ。ちょっとぐらい怒らせとけば。」
「いいわけないだろ。」

いんだよ。
ちょっとぐらい恨み事を言いに、上から降りて来るくらいでちょうどいいんだ。
そんなんでもなけりゃ、ちらとも姿を見せやしねぇ。
あー。
さみぃ。
熱燗も冷えちまったなぁ。
そろそろ、尾先の白い白黒逆転した筆尻尾が恋しいな。
抱いて眠れば昼までぐっすり。
いや、そんな事をしたら、癖が付く。と朝早くに叩き起こされそうだな。
勘弁だ。

「シカマル。」
「はいよ。締めますよ。」

雪の積もる庭を縁側で眺めて、熱燗を傾ける。
これ以上幸せな時間はない。
仕事の疲れも吹っ飛ぶ。
まぁ。あぁも煩い奴がいるから長々とは無理だろうが。
仕方なく退散するとしよう。


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