第13章 鬼の正体
「……ッ!」
櫻子はそのまま木に背からぶつかる。背と肩の痛みに顔を歪め、ずるずると木に凭れ掛かりながら座り込む。
「私はね……あの人が好きだった。どうせお前はまた、またあの人を殺すんだ……だからその前にお前を!」
「また……? それは……どういう、ことなのでしょうか?」
「とぼけないで! 貴方が殺したんでしょう!? 五鬼(いつき)を!!!」
四鬼が物凄い形相で刀を握り、櫻子へと襲い掛かる。殺生丸も櫻子の元へと走るが、それを読んでいた四鬼が片方短刀を投げつけ牽制をかける。
「邪魔は許さないっ!!」
「貴様……っ」
苛立ちからか、殺生丸はぐっと闘鬼神を構えた。その時……っ!
「ああ、見つけたな。うん」
誰かの、のんびりとした声が聞こえる。
途端、櫻子の目の前で背から胸を貫かれている四鬼が、映る。櫻子は目を見開いて、彼女から滴る血を浴びていた。
「駄目だろう? 四鬼……玉依姫は、俺の花嫁になるんだからよ」
「五……鬼? 五鬼(いつき)なの?」
「え? この人が……五鬼?」
五鬼と呼ばれた鬼は、ぐりぐりと刀で四鬼の胸を抉るように回す。あまりに痛みに、声のない悲鳴を四鬼は上げていた。