第13章 鬼の正体
「そうさ……私の名は四鬼(しき)。玉依姫……私はお前を許さない! 愛するあの人を殺した玉依姫が憎い!!」
「玉依姫が……? そ、それはどういうことですか!?」
「とぼけても無駄だ!! もう戻りはしない……愛しいあの人は……玉依姫に殺され、私はあの人を奪われこの地に封印されていたのだ!!」
四鬼はもう一本短刀を出すと、両手に持ち素早く二人へと襲い掛かる。殺生丸は櫻子を抱いたまま、闘鬼神を抜いて四鬼の刀を受けた。
「憎い憎い憎い憎いっ!! 玉依姫が憎い!!」
「何……?」
殺生丸の言葉を掻き消すように、物凄い力で四鬼の刀が殺生丸の力を上回るように力いっぱい二人を薙ぎ払った。まさかのことに、殺生丸は体制を崩し櫻子と離れるように吹き飛ばされる。櫻子は受け身が取れず、そのまま地に落ちる。
その隙を狙ったように、四鬼は仕掛けてくる。
「お前を殺せば、少しは私の慰めにもなろうっ!」
「お……お断りしますっ」
櫻子はなんとか羅刹桜牙を手にし、刀を受ける。けれど先程の衝撃のせいか、酷く肩が痛み始める。それはそうだ、彼女はまだ殺生丸から受けた傷が治っていないのだから。そんなこと、四鬼からすれば知ったことではない。
力任せに四鬼は櫻子の刀を振り払うと、そのまま拳で櫻子の右頬を思い切り殴り飛ばした。