第13章 鬼の正体
「あの、殺生丸さん……これはどういう」
「これはお前が持つべき代物だ。だが、私が言った言葉をけして忘れるな。お前は甘い、玉依姫としても、刀を持つ者としても」
櫻子の手にある羅刹桜牙は、なんだか初めて櫻子が手にした時よりもずっと重いような気がした。勿論、刀に変化などみられはしないのに……そう思ってしまうのは、櫻子の心に原因があるのかもしれない。
きちんと決意を心に刻んだはずなのに……けれど殺生丸の言葉から察するに、櫻子はまだ決意も何もかもが足りないのだと。
何が何処まで足りないのか、足りないならどうすればいいのか。櫻子は自問自答し始める。
「お二人共、大丈夫ですか?」
「あ……はい! 大丈夫ですよ」
遠くで事の有様も見守っていた女性は、安堵したように櫻子達へと駆け寄っていく。
「……っ、櫻子下がれ!」
「……っ!?」
殺生丸は櫻子の腕を引き、自らの腕の中へと閉じ込める。一体何が起きたのか? 櫻子が横目で状況を確認すると、目の前に駆け寄って来た女性が懐から短刀を取り出し、櫻子を斬らんとしていたのだ。生憎、殺生丸が彼女を引き込んだお陰で、女性は空を斬ることとなった。
「どうしてわかった? 私が、その女を狙っていることを」
「ふん……私の鼻は誤魔化せんぞ。貴様、鬼だな」
「鬼? それじゃあ……この人は……」
女性の頭に二本の角が生え始める。