第13章 鬼の正体
「ははっ! なまくら刀で何ができ……ッ」
灰刃坊の言葉の途中、突如灰刃坊の身体は木端微塵に引き裂かれていく。殺生丸の妖気の圧力が、羅刹桜牙の刀身に宿りそれにより灰刃坊の身体は圧に耐えられず消えてしまったらしい。
その場に残ったのは、灰刃坊が手にしていた闘鬼神のみ。まがまがしい妖気は健在で、刀が刺さっている場所だけ草木が枯れていく。
「殺生丸さん! 大丈夫ですか!?」
櫻子が殺生丸へと駆け寄ろうとする、しかし殺生丸は羅刹桜牙の切っ先を櫻子へ向けた。
「櫻子、そこを動くな。闘鬼神の邪気にあてられるぞ」
「え……あ、はいっ」
殺生丸は櫻子が足を止めたのを確認すると、闘鬼神の前へやってくる。羅刹桜牙を腰にさすと、何事もないかのように闘鬼神を掴んだ。
「せ、殺生丸さん! その刀を掴んでは……っ」
「私を誰だと思っている? 灰刃坊と同じように等、ならぬ」
その言葉の通り、引き抜いた闘鬼神はみるみる内に妖気を失いまるで殺生丸に吸収されていくように、煙のように消えていく。殺生丸は刀を試すように、何度か空を斬り感触を確かめている。暫くして、ふっと鼻で笑うと闘鬼神を腰にさした。
「櫻子、こちらへこい」
「……? はい……」
許可が出たので櫻子は殺生丸の元へと走ってくる。彼女が向き合うように、殺生丸の前に立つと殺生丸は徐に羅刹桜牙を腰から抜いて櫻子へと渡した。