第2章 絡み付く運命
「ふんっ、こんなところに隠していたとはな」
「貴方は……! 桜木の下にいた……殺生丸さん」
「貴様! 何故この屋敷の中に入れる!? 結界が張ってあったはずだが!!」
「この殺生丸に貴様ら如きの結界が効くとでも思ったか?」
殺生丸はコキッと指を鳴らし、爪を構える。
「その刀、この殺生丸に渡してもらおうか」
「断る! これは玉依姫様のもの!! お前のような妖怪に渡してたまるか!」
「羅刹桜牙……それは我が父の牙から作られたもとは父上のもの。貴様らが人間が勝手に奪った代物ではないか」
「玉依姫様はこの刀の行く末を見据えておられた。そして、この世が破滅に堕ちる前に妖怪の手から奪い、封印したものだ。再び妖怪の手に渡ることはない!」
櫻子は二人の会話を聞きながら、刀へと視線を向ける。これがあるから争いが続く――……何を思ったのか刀の方へと駆け出した。
「っ……、玉依姫様!?」
「玉依姫ならこの刀を、破滅の為に使われるのを防げるのですね!? それならば……っ!」
彼女の瞳に宿っている光。何処か決意に満ちていて、殺生丸は目を細めその有様を見守っている。櫻子が手を伸ばす、刀に触れしっかりと握りしめる。
「……抜け、女」
殺生丸のその声を合図にするように、櫻子は思い切り力をこめ引き抜く。意外にも簡単に刀は抜け、櫻子の脳内に声が響いてくる。