第2章 絡み付く運命
『そなた、玉依姫か……。再び人間の小娘が我を手にするというのか?』
――貴方は……?
『答える必要はない。いいだろう、人間の小娘。その力、そなたなら正しく使うことも出来よう。だが今のそなたでは無理だ。強くなれ、その刀に相応しいだけの器になるのだ。そして……いつかその刀を手放す時が来たならば、我を再び玉依姫の命を持って封印するがいい』
――玉依姫の、命……?
刹那、空気は一変する。手に余るほどの得体のしれない力が、刀を通して櫻子へと流れ込んでくる。だからといって、何か大きな変化があるというわけではないが。櫻子が刀を手にした途端、その場の全ての空気が変化した。
充満していた邪気が、一気に浄化されたのだ。これには殺生丸も驚いたのか、驚愕の色を見せる。
「玉依姫様、よくやりました。さあ、それを私にください」
「伊澄さん……?」
「この日をどれだけ待ち望んでいたか。この伊澄という娘の皮を被って待っていたのだ!!」
伊澄の身体を突き破り、妖怪が出て来る。妖怪は櫻子の刀を奪おうと襲い掛かる。
「っ……!! 伊澄さんじゃ、ないのですか!?」
刀を握ったまま一瞬固まるが、すぐに櫻子は刀をしっかりと構え始める。それを見た殺生丸が動いた。
「毒華爪(どっかそう)!!」
殺生丸の爪が妖怪を溶かす。ぎょっと驚きながら、櫻子は少し後ずさる。襲い掛かろうとしていた妖怪は、殺生丸の手により葬られた。