• テキストサイズ

犬夜叉 一重梅ノ栞

第6章 下駄を鳴らし彼方



「過程はどうでもいい。とにかく、お前が玉依姫の魂を持ち、どういうわけかその刀を所持していると……目的はなんだ?」

「も、目的ですか!? えっと……玉依姫の使命である、刀の力を全て集めて封印する。それが、私の目的……だと思います」

「そうか……刀の封印が解けたと同時に、玉依姫の魂を持つ者を刀が呼び寄せたということか。そしてお前は再びその刀を封印すると? ははっ」


 女性は喉を鳴らし、笑う。何がそんなにおかしいのか、理解できなかった櫻子は一人首を傾げた。


「櫻子、と言ったな。私の名は桔梗、見た通り巫女だ」

「あ……巫女さんなんですね、素敵だと思います」

「ふっ、何が素敵なものか……。お前、その刀を封印するということがどういうことなのか、わかっているのか? わかった上で、お前はそれを目的としているのか?」

「封印すると……何かまずいのですか?」

「その様子だと、何も知らないらしいな。まぁ、いい。その刀は所詮玉依姫しか扱えぬ刀。お前が好きにすればいいことだ……だが、けして誤るなよ。力の使い方を」

「そうですね、とても危険な刀だそうですし……気をつけます」


 桔梗はじっと刀を見つめると踵を返し「櫻子」と彼女の名前を、ぽつりと口にする。櫻子はそれに反応するように返事を返した。


「桔梗さん……?」

「着いて来い、その刀のことをもっと良く知りたければ」


 桔梗はゆっくりと歩いていく。森の奥へ、奥へと向かって。着いていくように白い生き物が、ふわふわと宙を泳ぐ。あまりに浮世離れしている桔梗の雰囲気と、纏う空気に自然と櫻子は緊張する。

 だが刀のことを詳しく知りたいという欲求は、常に彼女の中に秘められていたもの。好奇心とやらには逆らえない。


 薄暗い闇の中、桔梗の後を追うように櫻子は歩みを進めた。

/ 113ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp