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犬夜叉 一重梅ノ栞

第5章 戦国と現代



「殺生丸様! 御無事でしたか!!」

「……櫻子はどうした」

「へっ? 櫻子で御座いますか? えっと……急いで殺生丸を追いかけて来ました故、置いて来てしまいましたが?」

「では、此処にはいないと……?」


 ぎらりと殺生丸の鋭い視線が邪見を射抜く。あまりの恐ろしさに邪見は「申し訳ありません! 探して参ります!」と声を荒げた。しかし殺生丸は邪見を踏んで引き留める。


「待て、狼と血の匂いがする」

「狼ですか……?」

「……この血の匂いは」


 殺生丸は再び森の方へと足を踏み入れていく。邪見は阿吽を連れながら、彼の後を追いかけていた。


 ふと殺生丸は足を止める。目の前には酷い姿に成り果てた、小さな女の子が倒れていた。邪見がその娘へと軽く近付く。


「ああ、これはもう駄目ですね。狼に噛み殺されております」

「……そうか」


 殺生丸が目を細める。途端、腰にある刀から僅かに鼓動を感じ刀に目をやる。


「殺生丸様……?」

「試してみるか、天生牙の力を」


 殺生丸は腰にある天生牙を抜く。


「なるほど……見える。あの世の使いか」


 殺生丸の瞳には、今目の前の少女を連れて行こうとする異形の者の姿が映されていた。刀を振り上げて、その者達を斬り捨てる。

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