第5章 戦国と現代
「とても、静かなところなのですね」
「そうね……随分村から離れているから。よし、ということで思い切って飛び込んでみて!」
「え……? と、飛び込むって……この高さからですか?」
「うん! そうじゃないとね、効果ないみたい」
とてもいい笑顔を向けるかごめに、櫻子は一瞬口元を引きつらせた。それもそのはず、井戸の中には得体の知れない骨が大量に捨ててあり、なんだか異様な空気を放っている。しかもなかなかの高さがある為、もし何も起きなかった際には怪我は免れない。
「いつもかごめさんは、この高さを……難なく越えて戻られているのですか?」
「え、そんなに怖い?」
「……怖いというか。本当に飛び込むだけで、戻れるのかと」
「そうね……私と犬夜叉は問題なく通れるみたいだけど、その他でしかも現代から来た子に通ってもらったことはないからよくわからないのよね」
「でも此処くらいしか、帰れそうな方法はないのですよね。なら行きます!」
櫻子は思い切って、足をかけ飛び込んでいく。どくんと、大きく心臓が鳴る。何か言葉にならない違和感を感じていると、目の前がぐらぐらと揺れ井戸の底が消えていくのを感じ取る。身体は浮遊感に襲われたまま、ゆっくりと時間をかけて地へと足を着く。
「あ……」
上を見上げてみれば、先程とは違う景色が見える。縄梯子が降りていた為、それを使って井戸の外へと出て初めて気付く。