第5章 戦国と現代
櫻子は犬夜叉一行に連れられ、とある村へとやってきていた。そこで桜の木を見つめ、あの日の殺生丸との出会いをふと思い出していた。
「櫻子ちゃん、このまま向こうに向かう? それとも少し休憩してから行く?」
「皆さんにも予定があると思います。私は、向こうに一度戻りたいと思います」
「そっか! じゃあ、戻って二日後に私の日暮神社に集合でもいい?」
「はい、それで構いません」
かごめは櫻子と共に、例の井戸へと向かう。二人の後ろを見守る様に着いてくる犬夜叉。
「かごめさん、もしかして犬夜叉さんも一緒に来るのですか?」
「ううん、違うの。あれはいつものことだから、櫻子ちゃんは気にしないでね」
櫻子がちらりと後ろを振り返る。犬夜叉と目が合ったと思えば、彼は驚いたようにぷいっと顔を逸らした。それに櫻子が首を傾げると、二人の光景を盗み見ていたかごめは、一人苦笑いを浮かべていた。
「櫻子ちゃんって面白いわよね」
「え、そうなんですか?」
きょとんとする櫻子に、かごめは拍子抜けしたように乾いた笑みを向けるだけだった。
辿り着いた井戸。森の奥にあった為、喧騒から随分離れており風が木々を揺らす音だけが響いている。