第4章 繋がる血の濃度
「……え?」
「俺は殺生丸と違って半妖だ。本物の妖怪じゃない。妖怪の親父と、人間のお袋の間に生まれた子だ。殺生丸にとって大妖怪である親父の血を受け付きながらも、人間の血が混ざっている半人前の半妖の俺がさぞ憎いのさ」
「そんなこと……」
「その俺が、あいつが欲しくて堪らない鉄砕牙を親父に託されたことが更に気に食わないんだろう。まぁ……俺があいつの立場だったら、同じことを思うのかもしれねぇがな。だが同調はしねぇ。それは今の自分を否定することになるからだ」
櫻子は静かに彼の言葉に耳を傾ける。何も知らない自分、殺生丸の事も。この世界の事、何もかも。大人しくなる櫻子に、犬夜叉は撫でていた手を離した。
「兄弟ってよ、周りが思ってるより気持ちいいもんじゃねぇし、単純なもんでもない。櫻子もそうじゃねぇのか? お前の兄貴がどう思ってるかは知らねぇけどよ」
「私にはそこまでわかりません。ただ私にとっての兄は、いつだって逞しくて頼りがいがあって私の剣の目標でもありました」
「へぇ……女で剣が出来るのってのはすげぇな! 今度俺と手合せしろよ」
「いいですよ。きっと犬夜叉さんには負けると思いますけどね」
「勝つとか負けるとかどうでもいいだろ!」
にかっと笑う犬夜叉に、つられるように櫻子も笑みを向けた。