第4章 繋がる血の濃度
「どうかしましたか?」
「だから、さっき俺が刀を振った時何かしたのかと聞いてんだよっ!」
「落ち着きなさい、犬夜叉。それはもしや、櫻子様の中に眠る玉依姫様の霊力と神通力なのではありませんか?」
「なんだよ、弥勒。その神通力ってのは……」
「聞いたことがあります。玉依姫様には高い霊力と、言霊の念という神通力が使えるということを」
「なんでぇそれは。まるでこの俺の首についてる言霊の念珠みたいじゃねぇか」
「それと同じ原理でしょう。ただ念珠と違うところは、対象を誰にでも移せるところですね。誰にでも使えるところ」
「へぇ……櫻子って凄いんだな」
犬夜叉がじろじろと櫻子を見つめる。何故こんなにも自分は見られているのかと、櫻子は困惑気味に犬夜叉を見つめ返す。
「まぁ、なんでもいいけどよ……とにかくお前のせいで殺生丸に留めがさせなかった」
「……! なんてこと言うんですか! そんなことされては困りますっ!!」
「俺の方が邪魔されると困るって言ってんだよ! 着いてくるのは勝手だが、俺の戦いの邪魔だけはするなっ」
「……っ、でも……そんな……っ。兄弟で殺し合うなんて、絶対に間違っています!!」
「あ……おいっ」
森の方へと櫻子は走っていく。誰もが「あーあ、犬夜叉が泣かした」などとからかっているとそれがとても居心地が悪かったのか、半ば自棄になりつつ犬夜叉は櫻子の後を追う。
櫻子の匂いを追いかけながら、森の奥へと入っていく。