第4章 繋がる血の濃度
「私は櫻子ちゃんと同じように、この時代にタイムスリップして来てしまった一人なの」
「タイムスリップ……なるほど、多々ある中の次元というわけではなく、私達の元居る時代の過去……ということですか。それなら先祖返りのことも、頷けます」
「それにしても、どうして櫻子ちゃんは殺生丸なんかと一緒に?」
「この刀の場所に、あの人がいたのです。どうやらこの刀を奪いに来たようなのですが……これが未完成だと知ると興味をなくされて。話せば長くなるのですが、取引をしてお共させて頂いていただけです! 私には、この場所で居場所がありませんから……」
「櫻子ちゃん……」
かごめは意を決したように、ぎゅっと櫻子の手を握った。かごめも同じく、右も左もわからない状態でこの時代に来てしまった娘。何処かで共感と親近感が湧いたのだろう。
「ねぇ、一緒に来ない? 私がいつも通っている井戸があれば、すぐに現代に帰ることも出来るし」
「帰ることが出来るのですか……っ!?」
「うん、そうだよ。だからね、一緒に行かない? 犬夜叉も、いいよね?」
「……勝手にしろよ」
「どうかな? 櫻子ちゃん」
「……いいのですか? 私が、一緒でも」
「勿論よ」
櫻子の脳裏に、殺生丸の顔が浮かんで消える。それはまるでシャボン玉のようで、消えてしまえば何もかもなくなってしまうように思えて……何処かで手元に手繰り寄せたい衝動に駆られる。
今彼女の中にあるのは、ほんの僅かの時間を共にした殺生丸の事。