第4章 繋がる血の濃度
「見える……! これが、風の傷か……ッ!!!」
犬夜叉に風の傷が見えたのか、大きく刀を振るう。
「やめて下さいッ……!!!」
「あ……っ!?」
櫻子の大きな声が聞こえてくる。その瞬間、犬夜叉の手が刀を少し振った位置で止まる。刀を振り切ることは叶わなかったものの、既に風の傷は殺生丸へと襲い掛かっていた。真正面から風の傷を受けた殺生丸は、大きく鎧を損傷し自らの肌にも傷を負い始める。
途端、青い光が殺生丸を包み込み忽然と消え去った。
「せっ、殺生丸様ぁあああああっ!!」
邪見が慌てた様に阿吽に乗り、飛び去っていく。櫻子は犬夜叉の方へと走っていく。ようやく少女の存在に気付いた犬夜叉一行は、一体何が起きたのかと二重の意味で唖然と犬夜叉と櫻子へと視線を向けていた。
「自分のお兄さんなのにっ、あんな酷いこと……っ! もう少しで死ぬところだったじゃないですかっ!!」
「……はぁ、はぁ……お前、誰だ? 今俺に……何をした?」
「え……?」
「お前のやめろという声が聞こえた途端、身体が動かなくなった。でもお前から妖怪の匂いがしない……人間、か?」
「犬夜叉!!」
セーラー服を着た少女が駆け寄ってくる。
「かごめか……」
「かごめか、じゃないわよ! すぐに川で目を洗いましょう? ね。えっと……貴方も一緒に来る?」
「私……ですか?」
「うん、少し聞きたいこともあるし」
「……わかりました」
櫻子が辺りを見渡せば、邪見の姿もなくなっており再び行き場を失った。そんな彼女に断る理由は最早なかった。
手負いの犬夜叉を連れて、一行と共に櫻子はその場を離れた。
川で目を洗った犬夜叉は、隣で水面を見つめている櫻子へと顔を向けた。