第4章 繋がる血の濃度
「刀々斎、私の刀を打て」
「いっいきなり登場したかと思えばそんなくだらねぇことか? 俺はお前にもう立派な刀を一振り、与えておるじゃろうがっ!」
「これが……刀だと? ふっ……笑止」
殺生丸は腰にある刀を抜くと、櫻子の方へと近付いてくる。
「殺生丸さん……?」
「げっ……殺生丸! お前やめろっ!! いくら斬れない刀だからって!」
――斬れない刀?
櫻子がそう思った途端、殺生丸は櫻子に向かってその刀を思い切り躊躇うことなく振り下ろした。
「……っ!?」
「櫻子っ!!?」
近くで見ていた邪見が彼女の名を叫ぶ。斬られた当人は、驚愕の瞳を殺生丸に向けながら地へと尻餅をつく。その場にいた誰もが、あまりの光景に言葉を失いゆく。
「……あ……れ?」
櫻子は全身に何の痛みもないことに、驚いて自身の身体を確かめるが斬られた後は一切ない。着ていた剣道着にさえ斬られた後もない。一体どういうことなのか? 櫻子が視線を上げれば、表情をまったく変えていない殺生丸と目が合う。
「こんな斬れぬ刀を私に寄越すなど、なめてかかるのも大概にしたらどうだ? 刀々斎」
「なめてねぇよっ! その刀をお前にと託したのは、お前の父である親方様だ!」
「御託はもうよい。私の刀を打つのか? 打たぬのか?」
「打たねぇに決まってるだろっ!!」
刀々斎は口から火を噴き、その場を火で包み込む。火のせいで安易に刀々斎に近付けない。気付けば刀々斎は牛に乗って、空を飛び何処かへと逃げていく。
「……っ、小賢しいっ!」
殺生丸は眉間に皺を寄せ、刀々斎を追う為飛び去る。