第4章 繋がる血の濃度
生い茂る森を抜け、木々を避けながら櫻子達は森を抜けた先は目指す。
「殺生丸さん、これは何処に向かっているのでしょうか?」
「……」
「殺生丸様は今刀々斎という刀鍛冶の処へ向かっておるのだ! 話しかけるでないわっ」
「刀鍛冶? 刀でも研ぎに行くのですか?」
「……行けばわかる」
殺生丸がそう呟くと、急にがらりと景色が変わり始める。世界の全てが深く焦げていくような香り。ようやく森を抜けたかと思えば、岩盤に埋め尽くされ溶岩が流れている場所へと出て来る。
「わぁ……溶岩なんて初めて見ました!」
「何をそんなに驚くことがあるのか……わしはお前の方が珍しくて仕方ないわ。お前は自分の置かれている状況を理解できているのか……」
「きちんと理解しているつもりですよ?」
「そのわりには呑気だと言っておるんだ!」
そんな邪見の小言にも、櫻子は特に嫌な顔一つ見せずにっこり笑ってただ答えた。
「自分の知らない世界がこんなにも広がっていることが、単純に嬉しいのです。世界がこんなに広ければ、もっと沢山のことを知ることが可能です。それは無限の追及心なのです!」
「……お前の能天気な好奇心には、ある意味尊敬さえも覚えるわい」
殺生丸が立ち止ったかと思えば、一人の老人がいい音を鳴らしながら刀を打っていた。どうやら櫻子達に気付いたのか、視線を向ける。しかし……その途端、道具を取り落し大きな金槌のような物を掴んでびくびくと怯え始める。
その様に奇妙な違和感を覚えた櫻子は、一人首を傾げて老人を見つめていた。