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犬夜叉 一重梅ノ栞

第3章 魂の応え



「私、羅刹桜牙を完全なものにします。そして封印します……それが嫌でしたら私を監視する為に、お共に加えて下さい。殺生丸さん」


 櫻子の瞳は真っ直ぐに殺生丸を射抜く。


「この殺生丸に取り引きを持ち込むというのか?」

「はいっ」

「なっ……櫻子! 貴様、殺生丸様になんということを! 命知らずも大概にしろっ!!」

「私はこの刀を使いこなす自信があります。どうですか? 殺生丸さんにも悪い話ではないはずです。私が完成させた矢先に、この刀をすぐ奪うことも出来るはずです」

「……面白い。いいだろう」

「えええええっ!!? せっ殺生丸様!?」


 殺生丸は櫻子へと近付く。彼の金色の瞳に、櫻子が映る。殺生丸は手を伸ばし、櫻子の顎を掴み上げた。どことなく、櫻子の瞳は緊張で揺れているように思えた。


「だが、使えぬのなら貴様に余る刀。その腕ごと切り落として貰い受ける」

「……やってみせます」


「話はついたかい?」


 一鬼が櫻子と殺生丸の前へと立ちはだかる。再び櫻子は刀をしっかりと構え、願う。この刀を使えないと自分は殺生丸と共に行くことが出来ない。それはこの戦国の世で、死を意味する。櫻子は自分がそこまでサバイバル精神が旺盛とも思っていない為、此処で力を示す必要がある。


「玉依姫、やはりお前は玉依姫だな」

「……」


 先程とは櫻子の纏う空気が変わり始める。それを察したのか、一鬼は地に刺さっている金棒を掴みとる。

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