第3章 魂の応え
「死ね、毒花爪!!」
殺生丸の爪が鬼の肩を抉る、しかし鬼は顔色一つ変えない。櫻子が不審に思い鬼と距離を取り始める。
「そんなものでは、俺は倒せぬぞ? 殺生丸殿」
鬼が受けた傷がみるみる治癒していく。
「……どういうことだ?」
「我は一鬼(いっき)! その玉依姫が持つ刀、羅刹桜牙でのみ我を傷つけることが叶う。我はその刀の一部、五つの奥義を守護する鬼なり」
「五つの奥義……! 貴方はこの刀のことを詳しくご存じなのですか!?」
一鬼の言葉に一番反応を見せたのは櫻子だった。その様子に、一鬼はにやりと笑いながら答えてやる。
「勿論だ。元はその刀と一体となり、持つ者に剣技を与えていたのだからな」
「では教えて下さい! この刀のこと、どうして玉依姫はこの刀を封印したのですか!?」
「……ふむ。貴様、玉依姫の先祖返りだな? あの時のような強い霊力が霞んで見えるな。ククッ」
「私はこの刀のことを知らなくてはいけないのですっ!」
「何故知る必要がある? 所詮それは妖刀。人間の貴様の手に余るのではないか?」
「……そうですね、理由を問われるとわかりません。でも私がこの世界に来たのには、何か意味があると思うのです。それを知る手がかりは、今はこの刀を知ること以外にありません」
「知ったところで無駄なこと。何故なら……」
一鬼は腕を振り上げた、その瞬間櫻子の体内で鼓動が大きく鳴る。その原因が刀にあることを知り、ぎゅっと刀を握った。