第2章 絡み付く運命
「おい娘! 何をする気じゃっ! 殺生丸様の足を引っ張るでない!!」
「私にはちゃんと名前があります! 有馬櫻子、それが私の名です……ッ!!」
――心の中に言葉が浮かんでくる。叫べと聞こえてきます……。
櫻子は一気に駆け出す、殺生丸がいる妖怪の大群の中へと。殺生丸は戦いの最中、余裕があるのか櫻子を一瞥する。
「いきますっ! 奥義・絶円破(ぜつえんは)!!」
櫻子が刀を振り下ろすと、突如かまいたちが巻き起こる。
無数の斬撃が妖怪の身体を細かく切り裂き、散りに変える。殺生丸はその斬撃に巻き込まれない様に避ける。櫻子の前方にいた妖怪達は、刀の一振りで一掃されてしまう。
「これが羅刹桜牙の力か……やはり人間には惜しい刀だ」
残りの妖怪を殺生丸自らの手で消し去る。気付けば辺りにいたはずの妖怪は、全て消え去っていた。
その場に残ったのは、櫻子と殺生丸達。
「さあ、女。その刀を私に渡せ。そうすれば命だけは助けてやろう」
「お断りします! この刀で、貴方は何をするつもりですか?」
「……力を欲することにどんな理由がいる?」
「力があるということは、奪うことも守ることも出来るという意味です。それを貴方はわかっているのですか?」
「ふんっ……そんなもの知らぬ。私は全てを奪い、我がものにするまで」
「やっぱり貴方には渡せません!」
「この殺生丸に逆らうのか……?」
殺生丸は一気に櫻子との間合いを詰めると、その爪を奮わんと手を振り上げた。