第2章 絡み付く運命
「やった……! って、あれ……!?」
真っ直ぐ振り下ろした刀は、しっかりと妖怪を捉える。しかし……ぶつりと妖怪の身体に入ったものの、そこから抜くことも切り捨てることも出来ない。そこで初めて剣道と真剣を実際に使うのとでは、大きな違いがあることを知る。
「邪魔だ、女」
見兼ねた様に殺生丸がやってきては、櫻子の右手を掴み彼の力を借りて刀をなんとか妖怪から抜くことに成功する。同時に、殺生丸は櫻子を後方へと軽く蹴り飛ばした。
「いたっ……な、何するんですか!」
「使えぬのなら下がっていろ。死にたくなければな」
殺生丸は妖怪の大群の中へと容易く入っては、次々と爪で妖怪達を倒していく。
「流石殺生丸様じゃ! 人間の娘、よく見ておれ。あのお方がこれから貴様を八つ裂きにするのだからな!」
「あの……この鏡、少し預かってもらえませんか? 邪魔で集中できないので」
「はあ?」
懐から鏡を取り出すと、櫻子は邪見へと鏡を渡す。鏡と彼女を交互に見た邪見だったが、意外にもそれを受け取る。
「今回だけなんだからねっ!」
「(そんなツンデレ……いらないのです)」
心の中で苦笑いを浮かべながら、櫻子は再び刀を構えて少し前へと出る。下がっていろとは言われたものの、彼一人でこの大量に集まってくる妖怪を一掃できない気がした。